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認知症チェックリスト      ~CBS(大脳皮質基底核症候群)~

当院に通院される方で、最近CBS(大脳皮質基底核症候群)と診断される方が特に多くなっています。

CBSについてまとめると

  • 大脳皮質基底核変性症(CBD)は,典型的には大脳皮質徴候(肢節運動失行,観念運動失行,皮質性感覚障害,他人の手徴候,ミオクローヌス)と,錐体外路徴候(無動,筋強剛,ジストニア)を主徴とする神経変性疾患
  • 1995年以降,CBDと臨床診断された症例の背景病理の多様性に関して多数報告されるようになる
  • 剖検例の集積により,CBDの臨床像はきわめて多彩であることが判明
  • 2001年, Cordato らが臨床診断名として初めてcorticobasal syndrome(CBS)という名称を使用
  • 2003年,Boeve らがCBSを臨床診断名, CBDを病理診断名として区別して使用することを提唱
  • CBSの背景病理としては,CBD[50%未満]のほか,進行性核上性麻痺(PSP)やアルツハイマー病(AD) [20%] ,前頭側頭葉変性症(FTLD),Pick病,レビー小体型認知症(DLB)など多彩。診断名としてはCBS-CBD ,CBS-PSP , CBS-AD, CBS-FTLD ,CBS-DLB など
  • 従来は非対称性の運動障害と,非対称性の大脳皮質症状が必須であった.認知症をどう扱うかがCBSとCBDでは異なり,従来の診断基準では「初期の認知症」は診断基準の特異性を向上するため除外項目として扱われたが,現在はCBDにおける主要徴候と考えられている.

  全体の認知症に占めるCBSの割合は・・・臨床的には非常に多いという印象です。

 

当院で作成したCBSチェックリストがありますので是非参考にしてみてください。

 

▼CBS(大脳皮質基底核症候群)チェックリスト

□ 意識の変容がある。ボーッとするようになった

テレビを見ているようで見ていない様子など、ボーっとしている時とはっきりしている時が入れ替わる(秒・分・時間・日・週単位で入れ替わる)。疲れている時などは除き、日中ボーッとすることがある。1つのことに集中できない。新聞を読んでいても頭に入ってこないことがある。日中ウトウトしがちで、とにかく眠くなる。

□ 手の使いにくさ(失行)がある。明らかな鏡像運動が出る

手が使いにくくなった(左右差がある)。手のこわばり感、幅ったさがある。指数えが1本ずつ速くスムースにできなかったり、手でキツネやチョキなどの形を素早く模倣できない。この時、対側の手を上向きに開き膝の上に置いておくと指が勝手に大きく動く(鏡像運動)。

□ 言葉の理解や発語がスムースでない(失語・失書・失読がある)

言葉の意味がすぐに分からなかったり、言いたい言葉がすぐに出てこなかったりする。分からないと怒ったり、笑ってごまかしたり、話を逸らしたりする。都合耳に(一見耳が遠く)なった。テレビを見たり、本や新聞を読まなくなった。電話で一方的に話したり、頼みごとが伝わっていないことがある。失書や失読がある。

□ パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある

表情が乏しい。瞬目(まばたき)が減った。動作が鈍くなった。手足のこわばりがある。バランスが悪い(姿勢反射障害)。歩行時にフワフワ感がある。階段は手すりがないと特に下りが怖い。歩く姿勢が前屈みになった。歩きが小刻み、すり足になった。すくみ足がある(歩き初めや狭い所を通る時、目的地が近づいてきた時や方向転換して座ろうとした時など)。よくつまずく。よく転ぶ。座っていて身体が少し傾く(ピサ徴候)。何もしていない時に手足が震える(安静時振戦)。勝手に手足や首などの身体の一部が動く(不随意運動)。

□ 自律神経障害がある

便秘がちである(3日以上出ないことが多い)。頻尿や失禁がある。足が冷たくなる。冷え症。暑がり。多汗症である。汗をかかない。血圧が不安定である。

□ 睡眠障害(レム睡眠行動異常・睡眠時無呼吸症候群)がある

よく夢を見る(あまりいい夢でないことが多い)。寝言をよくいう。寝言で大きな声を出すことがある。自分の声で起きるようなことがある。寝ていて手足をバタバタ動かすことがある。夜、急に起きて動きだすことがある。いびきをかく。睡眠時に無呼吸になることがある。

□ 原因不明の手足の痛み(特に左右差のある)、しびれ、むくみがある

どちらかの手足に異常を感じて病院を受診したが、原因が分からない。病院で治療を受けたが良くならない。特に50歳以降で発症したもの。※これらは皮質性感覚障害による症状の疑いがある。

□ 前頭葉症状Ⅰ:社会性の障害や性格・嗜好の変化、病識がない

態度が横柄で、気遣いができなくなった。怒りっぽくなった。スイッチが入ると目が座って手が付けられない。その後ケロッとしている。疑い深くなった。食べ物の好みが変わって味が濃いもの、特に甘い物・お菓子などが好きになった。早食いや食べこぼしがある。空気が読めなかったり、場にそぐわない言動が見られるようになった。相手に違和感や変な印象を与えるようになった。化粧や身だしなみに気を配らなくなった。着替えなくなった。お風呂好きだったのに嫌がって入浴しなくなった。よくトイレを汚す。自分がおかしいと認識していない。

□ 前頭葉症状Ⅱ:常同行動がある、何かに執着する、我慢できない

同じような言動を繰り返し(常同行動)、止められると怒り出す(決まった時間に同じ店で同じ席に座り、同じ物を注文するなど)。時刻表的行動(毎日決まった時間に同じ行動をしないと気が済まない)がある。1つの行為や物事にこだわり、執着する(物を集める、同じ物を買う、ごみ屋敷、クレーマー、ストーキングなど)善悪観念が欠如し、悪いことをしても何とも思わない(万引きや信号無視、無謀運転など)。多動で落ち着きがない。子供っぽくなった。going my wayである。もともとここに挙げたような気質があったが、さらにひどくなった。

□ 焦燥感・不安感・うつ症状がある(ドクターショッピングをしている)

焦燥感や不安感、気分の落ち込み、うつ症状がある。何もやる気が起きない。引きこもりがちになり、寝てばかりいる(アパチー)。疲れやすい。だるい。精神科や心療内科で治療を受けても改善しない。治療を受けてかえって悪くなった。ドクターショッピングをする傾向がある。

※10項目中2項目以上該当する方は受診をお勧めします。

 

治療によって良くなるCBSの方を当院では日々経験しております。

お心当たりのある方は是非受診をご検討ください。

※チェックリストをプリントアウトされたい方はこちらから→「CBSチェックリスト」

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