認知症について
まず、治せる“認知症”の鑑別とともに治療を行い、必要であれば適切な専門医療機関と連携をとっていきます。アルツハイマー病はもとより、特に最近これに次いで多い疾患として注目されている、レビー小体型認知症の診断と治療とともに、ご家族のケアも同時に行っていきます。
レビー小体型認知症は、物忘れ症状、パーキンソン症状とともに介護者に大きな負担をおわせる、幻視・幻聴といった幻覚、妄想、易怒性といったいわゆる周辺症状が全景に出てきます。早い診断と治療で、ご家族の負担軽減と病状の安定をはかってまいります。
また、若年性認知症:前頭側頭葉変性症(ピック病、前頭側頭型認知症など)、若年性アルツハイマー病の診療にも力をいれてまいります。
物忘れが気になる方は、お気軽にご相談ください。
はじめに
現在、認知症を主体とした在宅往診と認知症外来を含めた外来診療を行っています。大体6割がレビー小体型認知症、3割が前頭側頭葉変性症いわゆるピック病関連のもの、あとの1割がアルツハイマー型認知症です。全認知症の4割がアルツハイマー型認知症といわれていますが、私のところにアルツハイマー型認知症の方はほとんど来ません。今回は「認知症のいろは」という題でお話をしていきますが、今回お話ししたいひとつの大きなテーマが「認知症はなおる」ということです。
「認知症はなおる」と聞くと皆さんは驚くかもしれません。「なおる」というのは少し語弊があるのでもう少し丁寧にお話ししますと、確かに認知症は病理学的には治りませんが、臨床症状的には良くなって、本人や家族にとって非常に大変な介護困難という状況がなくなり普通に生活できるようになる。そして知的レベルもある程度保たれ、本人と家族にとって非常に良い人生の時間を過ごすことができるようになる。こういったことを何度も経験していますので、私は「認知症はなおる」といっても過言ではないのではないかと思っています。
今回お話ししたいもうひとつの重要なテーマが「認知症は変化する」ということで、最初に診断した認知症の病名や病状が実は経過とともに変わっていくということです。このことはあまり知られていないと思いますが、現在に至るまで色々なことが分かってきて認知症の臨床治療も今ダイナミックに変わってきているのです。
現在日本には400万人ぐらい認知症の方がいるといわれており、認知症の前段階いわゆるMCIといわれる方も含めると相当な数の方がいるので、認知症の治療について医者やコメディカルはもちろん、一般の人たちもしっかり理解していかないと、これからの超高齢社会に対応できないと思います。
認知症とは
認知症の定義;いわゆる診断基準には、世界保健機関による国際疾病分類第10版(ICD-10)や米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル:改訂第3版、第4版テキスト(DSM-IV-TR)
があります。
これらを要約すると、原因となる疾患があり脳に器質的変化があること。記憶障害、遂行機能障害、視空間障害、言語障害、人格行動障害のうち二つ以上あること。これに加え、仕事や日常生活が以前に比べ低下し支障を呈している状態である。この状態が、認知症であるといえます。
⇖続きは...「認知症のいろは」をご覧ください。