薬に対する過敏性
一般にレビー小体型認知症には、
- 記憶障害に対する薬
- 幻覚や妄想などの精神症状に対する薬
- バーキンソン症状に対する薬
の3つが必要に応じて用いられています。
臨床診断基準の中の示唆的特徴の一つとして、薬に対する過敏性:特に抗精神薬に対する過敏性としてあがっています。薬の過敏性とは、通常量の服用量で、様々な副作用が出ることです。市販の胃腸薬や風邪薬で具合が悪くなることもまれではありません。薬が効きすぎて過鎮静となって動けなくなったり食べられなくなったり、あるいはパーキンソン症状が増悪したり、逆に薬が効きすぎて、幻視・妄想・幻聴などの精神症状が増悪することにもよく認めます。
レビー小体型認知症に対する効果的な薬はいくつかありますが、その処方された薬の投与量が行き過ぎたりすると、上記のような症状が増悪し、新たな問題を発生させたりすることは少なくありません。
この様なことから、専門医でさえも、レビー小体型認知症に対する処方は非常に難しいといわれています。それでなくても、認知障害やバーキンソン症状、自律神経症状など多彩な症状を抱えるレビー小体型認知症では、複数の薬を処方せざるをえません。従って、医師には認知症における充分な知識・技量と豊富な経験、そしてなにより慎重さが求められます。現実には、レビー小体型認知症に対する理解不足、あるいは誤った判断によって、誤った薬・不適切な用量で処方されている例は、少なくありません。